冬になるとどうしてもセリ場の色彩が暗くなりがちですが、クリスマスカラーに輝くサカナがいました。キンメダイです。まさにサカナ界のサンタクロース。
その華やかさからお祝いの膳には付き物で本家の鯛の代役も勤めてきたキンメダイ。皆さんご存知の通り鯛は鯛でも「あやかりたい」鯛の仲間ではありません。キンメダイ目キンメダイ科に属する別種です。
キンメダイのトレードマークは真っ赤な魚体と水晶のように金色に輝く瞳です。こんなに派手な格好では目立ってしょうがないと思うのですが、実はそこに薀蓄めいた秘密が隠されていました。
キンメダイの成魚は沖合の水深200~800メートルの岩礁域に生息する深海魚です。深海魚の多くは色盲が単一の色しか識別できないと言われています。
太陽光も深海100メートルを過ぎるとほとんど届かない世界。そんな深海でキンメダイの赤い色の波長は水に吸収されやすく、遠くまで届かないそうです。
例え光が当たっても赤い体色で反射すれば見えにくく、目立たないのです。深海でカニやエビなどの甲殻類が赤いのも身を隠すための知恵なんですね。
因みにキンメダイの鮮やかな赤色は死んでから発色し、生きている時はもっと淡い赤色をしているそうです。