ブリの「旬」はいつなのかと聞かれると、一般的には「寒ブリ」と言って冬が定番ですね。
しかし東紀州、熊野灘(三重県から和歌山県にかけて)のブリ漁は、産卵のために南下する3~4月にシーズンを迎え、地元ではこの時期に獲れるブリを特別に「桜ブリ」と呼んでいるそうです。
ほのかな温かさが陸を包み込む頃、巷では「桜前線」の話が聞こえ始める。そんな季節にふさわしく「淡白な味わい」が特徴でその身色も、まるで桜の花びらを連想させる淡いピンク色になっている桜ブリ。
現在桜は葉桜になっていて、紹介するのが遅れた感じですが、相模湾からもブリが少しずつ入荷してきています。(本日、平塚市漁協、追っ駆け日海丸より)
魚体を見て、プロの目利き仲卸は、脂ののりをピッタリ言い当てます。やはり今の時期のブリは、冬とは違う春の良さ・味わいがあると思います。
淡白と表現しましたが、全く脂がのっていない訳ではなく、程よい脂ののり、そして魚の旨味があります。
口の中でさらっと消えていく風味、心地よい食感は堪りません。
三重県では、醤油と砂糖で甘辛く漬けたブリをちらし寿司の上にのせた「ベッコウ寿司」なる郷土料理があり、この時期のお祝い事には食卓に飾られるそうです。
1年の中で、2度も楽しめるなんて、使い勝手の良い魚ですね。